不動産のヘッドハンティングサービスを作ります

TL;DR

  • 不動産は「一生に一度の買い物」と言われるほど、売買の敷居が高い。
  • 売却を決めないと可視化されないゆえの流動性の低さと、それによる機会損失がある。
  • 課題を解決すべく、不動産のヘッドハンティングサービスを開発する。
  • ヘッドハンティングサービスとは、所有する物件を登録しておいて、オファーを待つ仕組み。

プレスリリース

www.ga-tech.co.jp

はじめに

はじめまして。株式会社GA technologiesとイタンジ株式会社の原です。業務内容は記事の中盤に登場します。

趣旨と免責

「Renosy CONNECT」は不動産取引の形にイノベーションをもたらす可能性を持った、全く新しいサービスです。新しい挑戦には、困難がつきものです。私たちは、「Renosy CONNECT」で不動産の世界を革新するために、日々リサーチを行い、社内弁護士、専門の弁護士と打ち合わせ、このサービスの実現に向けて動いています。

不動産業に関わる方ならご存知かと思いますが、不動産取引のルールは複雑で、デリケートです。私たちは荊の生い茂った森の中を、針の穴に糸を通すような精妙さで駆け抜けなければなりません。この記事では、現時点で公開できるサービスの情報と、サービスが解決する課題、サービスが実現する世界についてご紹介しますが、この記事について一切の保証はなく、サービスは事前の予告なしに変更されることがあります。ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願いします。

不動産のヘッドハンティングサービス「Renosy CONNECT」

所有物件の情報を登録するだけで、チャット経由で購入オファーが届く、不動産のヘッドハンティングサービスです。市場に開かれた不動産取引プラットフォームを構築し、必要な人に必要な情報を届けることで国内の不動産流通を促進する仕組みを実現します。

f:id:hara_gat:20181218164905p:plain
Renosy CONNECT 概要

目的 不動産取引を滑らかにしたい。

私たちはこのサービスで、不動産取引を滑らかにしたいと思っています。滑らかにしたい、というのは色々な意味を含んでいるのですが、流動性を高めたり、スムーズにしたり、簡単にしたり、意識せずにできるようにしたり、といったイメージです。不動産は「一生に一度の買い物」と言われることがあります。私も以前はそう思っていました。しかし、ある頃から、その時点で必要なマンションを買って、生活スタイルが変わったら貸したり売ったりするのもありだなと感じるようになりました。とはいえ自分ではまだそこまでは踏み切れなくて、本当に物件を探し始めたのはなんと不動産会社に入社してからです。「一生に一度の買い物」であるがゆえに、知見が蓄積されず、購入に踏み切れず、流動性が下がり、「一生に一度」が強化される循環です。

これって何かと似ているな、と思いませんか? そうです、就職です。

考察1 人材における流動性

終身雇用は、日本の雇用制度の特色の一つです。新卒で就職活動をして入社した方は経験があると思いますが、学生が入社前に理解できていた会社の業務や業界のスキームなんて、本当にごく一部です。就職というのも、一生に一度だと、知見が蓄積されません。しかし現在では、必ずしも全ての業界ではありませんが、転職はごく一般的で特別ネガティブなイメージはありません。特にIT技術職では会社によって風土やレベル感がまちまちですから、知見を蓄積して、自分が何を求めているかを理解しながら、よりフィットした職場に移るということができます。企業のメリットももちろん大きいですね。ウェブサービスの会社を立ち上げたら、スキルもナレッジもある即戦力人材を採用したいですし、それは転職が一般的でなければできません。

考察2 具体的な事例

私の話をします。 私は、いわゆる転職サービスに登録して、ヘッドハンターからオファーをもらって株式会社GA technologiesに入社しました。入社以降の職務経歴は以下の通りですが、ある程度の不動産の知識が必要とされる領域です。

[2018/3/1- 2018/4/30]
Renosy企画開発本部/ Tech Consul(新規・既存顧客向けCRM/SFA)/ PM

[2018/5/1- 2018/10/28]
Service Development Division/ Tech Series/ PM
Service Development Division/ Growth Core Team/ Project Manager
(Tech Supplier(仕入れ管理), Tech Consul(新規・既存顧客向けCRM/SFA), Tech Management(既存顧客・賃貸管理CRM), Tech Building(建物情報DB), Tech Portal(社内ポータル), Tech Marketing(問い合わせ情報管理))

[2018/10/29- 現在]
Service Development Division/ Renosy Booster Team PM
(RB Supplier(仕入れ管理), RB Consul(新規・既存顧客向けCRM/SFA), RB Management(既存顧客・賃貸管理CRM), Tech Building(建物情報DB))
兼 Service Development Division/ Renosy Biz Team PM
(ノマドクラウド賃貸, ノマドクラウド売買-実需, ノマドクラウド売買-投資, Renosy CONNECT(プラットフォーム))

私は入社前、不動産の知識は全くなく、システム開発を軸にしたピボットでした。先日宅建(宅地建物取引士資格試験)に受かったんですが、人生で宅建を受ける日が来るとは思いもしませんでした。もし、転職サービスに登録していなかったら、この記事を書いている可能性はゼロです。

考察3 不動産の流動性を阻害しているものは何か

不動産テックで流動性を上げることをうたうサービスの多くは、手数料を下げたり、ゼロにしたりすることをアピールしていますが、そもそも、流動性を阻害している要因は、手数料なんでしょうか。私の利用した転職サービスは、企業側にそれなりの利用料がかかっています。しかし、その金額以上に、そのビジネスは社会にとって有益性があります。

前述の転職サービスは、職務経歴を登録しておいて、「待つ」形になります。ユーザーは、必ずしもすぐに転職活動に専念しなければいけないわけではなく、普通に仕事をしながらベストな出会いを待ちます。企業が求人を行うタイミングはまちまちなので、基本的に、期間の長さは機会の回数と比例します。オファーが入ることで、自分の市場での価値を確認しながら、興味があればやりとりをして、条件が合えば転職します。機会を最大化しつつ、そのプロセスの中でも知見を蓄積できるわけです。

誰が何をどのタイミングで欲しがっているかというのは、誰かが押しつけるものではなくてマーケットが決めることです。不動産についても、たまたま、その場所に思い入れのある人がいて、たまたまあるタイミングで欲しいと思うかもしれません。流動性を阻害している原因は、オーナーが物件を売ろうと決めてからしかマーケットに顕在化しないために、機会が最大化されておらず、機会損失が発生しているためであると考えることができます。

方法

前述の転職サービスのような、オーナーが「待ち」の形で登録しておくサービスモデルを、不動産において適用したものが、「Renosy CONNECT」です。オーナーは、普通に不動産を使用したり、運用したりしながら、オファーを待ちます。

f:id:hara_gat:20181219021307p:plain
Renosy CONNECT オファーの概要

解決される課題

不動産の価値は、時期によって、また、その価値を算出する主体によって大きく異なります。そのため、その価値を一意に決定する事は、原理的に難しいというのが実際です。このサービスでは、オファーという形で実際の値付けが行われ続け、一つの事実としての価値判断を行うことができます。また、これまで不動産という資産は、一般には、売ると決めた物件にしかアクセスできませんでしたが、このサービスによって、それ以外の不動産にアクセスできる世界が生まれます。その他、収益物件を登録しておいて資産の管理をしたり、実住の物件を登録しておいて値段が高くなったら売却したり、空き家問題や、相続問題や、このプラットフォーム上で解決される可能性がある課題は、限りなく考えられます。

おわりに

「Renosy CONNECT」のコンセプトをご紹介しました。このプラットフォームでは、ブロックチェーンやAIや、深層学習やデータマイニング等の技術も活用して、サービスの幅を広げていくつもりです。私たちはファーストペンギンの矜持を持って、この世界に飛び込みます。サービスの詳細については、引き続きこのブログでお知らせできればと思います。「Renosy CONNECT」にご期待ください!